水を汚しやすいアロワナの長期間飼育で採用されることの多いオーバーフロー式ろ過。そして、オーバーフロー式で欠かせないのがろ過槽選びです。
アロワナは体が大きいく餌をよく食べることから飼育水が汚れるペースが早く、水質管理の要とも呼べるろ過槽の重要度はとても高いです。また、水槽内の水流の強弱や酸素供給にも関係するため「アロワナに合った水槽」を作るためには、ろ過槽を軸の1つとして考える必要があります。
ここでは、アロワナ飼育に最適なろ過槽の仕様についてご紹介します。アロワナの特性に合わせたろ過槽の種類や選び方、おすすめのろ材についても解説します。
- アロワナ飼育でろ過槽が重要な理由とは
- アロワナ水槽におすすめのろ過槽設計
- オーバーフロー式以外でアロワナを飼育するには
- アロワナ飼育におすすめのろ材
- まとめ:アロワナ飼育のろ過槽に最適な仕様とは!3層式以上がおすすめな理由
アロワナ飼育でろ過槽が重要な理由とは

アロワナ飼育では、他の魚種以上にろ過槽が重要視される傾向があります。
成魚では70〜100cm程度に成長する大型魚で生餌や人工飼料を多く食べるため、フンの量も少なくありません。水が汚れるペースが早いことから、アロワナ飼育では、他の魚種以上にろ過槽が重要視される傾向があります。ろ過槽の作りによって得られるろ過能力が異なるからです。
また、水量の確保にもろ過槽が大きく関係しています。回遊するアロワナのために水槽の中をできるだけすっきりとさせたいときにもろ過槽が役立ちます。
アロワナ飼育でろ過槽が重視される理由について詳しく解説していきましょう。
ろ過槽によって得られるメリットがある

成魚では80〜100cm程度に成長するアロワナは、生餌や人工飼料を多く食べる大食漢で水を汚しやすい魚です。そのため、ろ過能力の高いオーバーフロー式ろ過での飼育が推奨されていますが、オーバーフロー式の中心ともいえる部位がろ過槽です。
ろ過槽の中を仕切り、各部屋にろ過材を入れて複数の層を通しながら水をろ過していくため、層数などろ過槽の仕様がろ過能力を大きく左右します。
ろ材の量や種類を調節することで、高いろ過能力とアロワナ向きのpHを維持しやすくなるのです。
> アロワナ水槽のすべて・プロがおすすめする構造と理由を解説
> アロワナ飼育セット!プロが選定した最適な設備付きの水槽です!
アロワナが泳ぎやすい環境をつくれる

アロワナ飼育でろ過槽が重要視される2つ目の理由として「アロワナが遊泳しやすい環境づくりがしやすい」ことが挙げられます。濾過槽を使用するというとは、任意の『循環ポンプ』を接続するからです。
アロワナは強い水流があまり得意ではないため、水流を調整する必要があります。熱帯魚飼育であれば、流木や水草といったレイアウトを使って水流を調節することができますが、遊泳性やメンテナンス性を考慮してベアタンクでの飼育が基本のアロワナではそれができません。そのため、ポンプの吐出量(流量)で水流を調節していくことになります。
熱帯魚飼育では、流木や水草といったレイアウトで水流を調節することもできますが、アロワナの場合は衝突事故を防ぐためやメンテナンス性を考慮するとベアタンク飼育が基本ですので、ろ過槽に接続する循環ポンプのパワー(流量)で水流が決まります。
アロワナ飼育で採用される機会が多いオーバーフロー式は、流量に合わせたポンプを選びやすい点も大きなメリットです。
水流に強くない魚とはいえ、水流がまったくないと水槽内をきれいに回遊しないこともあるため、アロワナにとって「強すぎず弱すぎない水流」として3〜4回転をおすすめしています。
回転数に合ったポンプの選び方は、後ほどご紹介します。
アロワナ水槽におすすめのろ過槽設計

ここからはアロワナ水槽におすすめのろ過槽設計について、より具体的に解説していきます。
アロワナに最適なオーバーフロー式について、
- おすすめの層数
- 掃除しやすいろ過槽の設計
- ポンプの選定方法
- エアーポンプの有用性
東京アクアガーデンが実際に設計する際のノウハウをもとに解説しますので、アロワナ水槽のろ過設計でお悩みの方や導入を検討中の場合は、参考にしてみてください。
オーバーフロー式以外のろ過方式を使ったアロワナ飼育については、後ほどご紹介します。
ろ過槽は3層式〜4層式がおすすめ
アロワナはもちろん、水を汚しやすい魚種の場合は3層以上のろ過槽がおすすめです。
層数が多いと色々な種類のろ材をたくさん入れられますので、単純にろ過能力が上がります。また、各層に分けてろ材を入れられるため、目詰まりしづらくなるのもメリットです。
目詰まりすると流量が下がり、ろ過能力も低下してしまいますので注意しましょう。
東京アクアガーデンでは可能ならば4層にすることを推奨しています。
ろ過槽で水量を確保する
オーバーフロー式は、他のろ過方式よりも多くの水を確保できるのがメリットです。
飼育水は多いほど汚れるペースを遅らせることができますので、フンが多く水質が悪化しやすいアロワナを飼育するのに最適です。アロワナは10年以上生きることも珍しくないため、長期間の水質維持と掃除頻度を考慮しなければなりません。飼育を始める際には大型水槽と合わせて大型のろ過槽を準備しておくと良いでしょう。
> オーバーフロー水槽とは!ろ過方式の仕組み・システムとメリットを解説【外部コラム】
掃除しやすいろ過槽の設計例

上記の写真は、掃除しやすいろ過槽の設計例です。適合水槽サイズは150cm、オーバーフロー式の3層になっています。
少ない層数に大量のろ材を入れると通水性が悪く、流量の低下やろ材の目詰まりにつながりますので層数は多いにほうがより扱いやすいです。
ろ過槽とウールボックスに開閉しやすいフタがあると、ろ材の掃除やウールマットの交換といったメンテナンスの際に便利です。ウールボックスのフタは、飼育水の蒸発を防いだり、水はねを抑えたりする効果もあります。
水はねは、落とし込み加工を施されたウールボックスを使うことでも防ぐことが可能です。
循環ポンプの選定方法

この回転数を維持するためには、大型の水槽ほど吐出量の多い循環ポンプが必要です。
とはいえ、水槽に見合わない大型のポンプを使用すると回転数が増え水流が強くなってしまいますので、水槽の水を1時間に4〜5回転させられる吐出量のポンプをおすすめします。
回転数に合わせた吐出量の求め方
飼育水の回転数に合わせた吐出量(流量)は、次の計算式を使って算出します。
流量:L/min 水量:L
たとえば、W1500×D600×H600mmの150cm水槽では水量が約500Lなので、飼育水を1時間で3回転させたい場合は、 25/min=(500L×3)÷60
ポンプの吐出量は製品の説明書に記載してありますし、メーカーのホームページでも確認することができます。
オーバーフロー式のポンプは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
> オーバーフロー用循環ポンプの種類と選び方!プロも使ってる機種を解説【外部コラム】
循環ポンプはマグネットポンプがおすすめ
アロワナ水槽は大型になるため、パワーのあるマグネットポンプを推奨しています。
マグネットポンプは水中ポンプと比較すると高価で配管作業を行う必要もありますが、水質の良し悪しに直結するため、アロワナ飼育の必需品といっても過言ではありません。
120cm水槽なら水中ポンプも選択肢の1つ
水中ポンプはパワーこそありませんが、120cm以下の水槽であれば使用できますので、少し小さな水槽でアロワナの幼魚などを育成するときには選択肢の一つとなります。
マグネットポンプよりも安価ですし配管作業も必要ありません。
ホースをつなぎろ過槽に入れるだけですので、初心者の方でも導入しやすい点はメリットといえます。ただし、水槽の水の回転数はろ材の量や水槽用クーラー・殺菌灯の有無によっても変わるため、心配な場合はマグネットポンプを選ぶようにしましょう。
後ほどご紹介しますが、ろ過能力が不足しがちな場合には、外部フィルターをサブフィルターとして使用する方法もあります。
酸素供給として!エアーポンプも併用するメリット
水中に酸素を供給(エアレーション)するためには、エアーポンプの併用もおすすめです。
アロワナは熱帯魚のなかでは比較的高い水温で飼育する魚で、30度近い水温で飼育することも珍しくありません。水温が高ければ水中の溶存酸素(水に溶け込む酸素)が減少しやすいため、エアレーションが効果的です。
また、アロワナに限らず大型魚は酸素消費量も多いため、水中の酸素が多いほうが良いと言えます。
酸素供給が増えることで、
- 魚の活性が上がり健康的に育ちやすい
- バクテリアが活性化して水質維持に効果的
エアーポンプやエアレーションの効果については、こちらの記事をご覧ください。
オーバーフロー式以外でアロワナを飼育するには
上部フィルターでもアロワナ飼育は可能
オーバーフロー式以外でアロワナ飼育におすすめなのが、上部フィルターです。
上部フィルターには、
- 酸素供給力が高い
- オーバーフロー用でない水槽に設置できる
- 設置に配管作業が必要なく簡単
- 大きなウールマットによる物理ろ過に優れる
ろ過能力だけで考えるとオーバーフロー式には劣るもののメンテナンスしやすいため、掃除の頻度を高めることできれいな水質を維持することが可能です。
それでもパワー不足が気になる場合は、後述する上部フィルターを2台設置したり、外部フィルターと併用したりする方法でろ過能力を上げることができます。
ただし150cm水槽以上の大きさに適合する上部フィルターはほとんど市販されておらず、オーダーメイド品を購入するのが一般的です。180cmを超えるような場合はオーダーメイドでも入手が難しくなるため注意してください。
東京アクアガーデンでは、オーダーメイドで180cm水槽用まで上部フィルターを制作しています。
オーダーメイド上部フィルターについては、こちらをご覧ください。
上部フィルターと外部フィルターの併用
次にご紹介するのが上部フィルターと外部フィルターを併用する方法です。
この方法は、上部フィルターと外部フィルターそれぞれのメリットを生かしながらデメリットを補いあうことで、飼育環境を整えるろ過方式になります。上部フィルターは酸素供給力が高くどんな水槽にも設置できる汎用性が魅力ですが、導入できるろ材量はやや少なめです。
対して外部フィルターは理財をたくさん導入でき、大型水槽に適合した製品も多数販売されていますが、密閉構造のため酸素供給力に欠けるという側面があります。
この2つのフィルターを併用することで、高いろ過能力を維持しながら、酸素供給も行えるアロワナ飼育に適したろ過環境を実現できるのです。
上部フィルターは水槽の上に、外部フィルターは通常水槽台の中などに設置するため、お互い干渉することもありません。
また、2種類のフィルターで水槽を管理することで、万が一片方が故障したり、目詰まりを起こして流量が低下したりなどしても、もう片方が稼働し続けるため急激な水質悪化を防ぐことができ、大きな問題になる前に対処することが可能となります。
上部フィルターと外部フィルターの併用については、こちらの記事をご覧ください。
> 上部フィルターと外部フィルターを併用してみよう|メリット・デメリットを解説【外部コラム】
上部フィルターを2台設置する
上部フィルターのパワー不足が気になるときや、水槽に適合する大きな上部フィルターの入手が難しいとき、水槽の上部に設置するという特性を活かして、上部フィルターを2台設置することで問題を解決できる場合があります。
180cmを超える上部フィルターは補強が必要になりますが、2台に分割することで扱いやすくなります。
上部フィルターは水槽上部に設置するため、照明を置くスペースがオーバーフロー式よりも限られます。上部フィルターの下部が暗くなってしまうのを防ぐには、水中照明を利用しましょう。
アロワナ用の照明については、こちらの記事をご覧ください。
> アロワナ用照明の選び方とおすすめ6選!体色別の使い分けを解説します!【外部コラム】
アロワナ飼育でろ過槽を選ぶ際の優先順位としては、やはりオーバーフロー式、上部フィルター、外部フィルターとなります。
アロワナ飼育におすすめのろ材

水槽のろ過能力は、ろ過槽と使用するろ材によって決まります。
オーバーフロー式を使っていたとしても、ろ材が適したものではなかったり、少なかったりすればろ過能力が低下してしまうことも少なくありません。
ここでは、アロワナ飼育におすすめのろ材をご紹介しますので、参考になさってください。
セラミックろ材はpHを下げるタイプが良い
アロワナ飼育におすすめのろ材一つ目は、セラミック製のろ材です。
なかでもpHを下げるタイプのろ材は、6.5〜7.0程度のpHを好むアロワナに最適です。リング状であれば通水性を確保できるだけでなく、大きく崩れない限り再利用することができます。
ろ材は適切なメンテナンスを行うことでろ過能力を維持できるため、定期的に掃除するようにしましょう
セラミック製のろ材は多孔質でたくさんのバクテリアが住み着きやすい構造をしています。そのため、ろ材を掃除する際は、バクテリアが減少しないように飼育水を使うようにしてください。
ウールマットはゴミ取りのために必要
アロワナ飼育ではウールマットも大切です。
フンが多いアロワナ飼育では、物理的にゴミをこしとるウールマットが重要な役目を担います。
ウールマットがない状態で直接セラミックろ材に通水させると、セラミックろ材に汚れがたまって目詰まりの原因になります。
目詰まりは掃除をすることで改善しますが、セラミックろ材は掃除の手間がかかりますし、掃除の頻度が高くなるとバクテリアが減ってしまう原因にもなりかねません。
そこで、ウールマットを設置してフンや餌の食べ残しなどのゴミをこしとることで、セラミックろ材の汚れを最低限に減らすことが可能です。
ウールマット→セラミックろ材の順に通水するように設置しましょう。
また、ウールマット自体が目詰まりすることで流量が低下することがありますので、ゴミ取りと割り切って早めに交換する方が良いです。目詰まりが判明してからでは、水質悪化によってアロワナが体調を崩してしまう可能性があります。
まとめ:アロワナ飼育のろ過槽に最適な仕様とは!3層式以上がおすすめな理由

今回は、アロワナ飼育におすすめのろ過槽と最適な仕様について解説しました。
ろ過槽を選ぶ際は「アロワナが疲弊しない水流でろ過能力を維持すること」が重要です。アロワナは80〜100cm程度に成長する魚ですので、どうしても大型水槽が必要になります。
大型水槽をしっかりろ過して流量も維持するためには、マグネットポンプを使用したオーバーフロー式が最適でしょう。
とはいえ、適切な流量のポンプが付いた上部フィルターでも維持できますし、外部フィルターを併用する方法もあります。アロワナ飼育では、水槽サイズごとにろ過槽やポンプを検討するようにしましょう。
大型水槽とろ過槽を含む周辺機材の選定は、複雑で手間もかかりますので、労力をかけたくない場合はアロワナ水槽セットもおすすめです。
水槽やろ過槽はもちろん、ろ材にいたるまでアロワナに最適なものをセットとしてご紹介しておりますので、よろしければこちらもご覧ください。
アロワナを飼育したい、設備を整えたい場合などは、ぜひご相談ください。
フルオーダーセットなら水槽のサイズ(横幅、奥行き、高さ)や仕様(加工)を自由にご指定いただけます。2mを超える大型飼育水槽も制作可能です。
アロワナ飼育のろ過槽についてよくあるご質問
アロワナ飼育に向いている、ろ過槽とは?
アロワナ飼育で必要なろ材の量とは?
アロワナ水槽をオーバーフロー式で運用するメリットとは?
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